ボブ・ディラン(Bob Dylan) が作詞・作曲した数々のシングルの中
でも、常に人気ランキングのトップに君臨し続ける、名曲3つから、
ボブ・ディランの名言集を作ってみました。
「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」の歌詞より
How many roads must a man walk down before you call him
a man?
【英語から日本語への直訳】
人を人と呼ぶまでに、いくつの道をあるかねばならないのか?
・・・つまり、ボブが伝えたかったのは、
【意訳】
「一人前の大人」 と呼ぶにふさわしくなるために、人間はどれ
ほどの努力をしなければならないのだろう? 途方もない
努力が必要なんだ。
このシングルCD発売当時、わずか22歳だったボブ・ディラン。
自分自身に対して、強く言った言葉のようです。
「時代は変わる (The Times They Are a-Changin’)」の歌詞より
You better start swimming or you’ll sink like a stone, ‘cause the
times they are a-changing.
【英語から日本語への直訳(和訳)】
泳ぎ始めないと、石みたいに沈むぞ。時代は常に変化している
んだからな。
この直訳のままでも、意味は通じます。が、ボブは、それ以上に何を
伝えたかったんでしょう?
【歌詞が生まれた時代背景】
このCDが発売されたのは、1964年。ボブはアメリカ出身です。
1960年代当時のアメリカ全土は、あらゆる方面で荒れに荒れて
いる状態で、社会不安が蔓延していました。
公民権運動の激化による、マーチン・ルーサー・キング・ジュニア
牧師や、ジョン・F・ケネディ大統領への攻撃・・・
ベトナム戦争開始と、同時にアメリカ中の大学キャンパスでの反戦
運動・・・
より自由な社会を求めての、フェミニズムや、環境保護運動の拡大
・・・
そして、アメリカで絶対と誇られていた自動車産業と鉄鋼産業は、
安く高品質の外国製品の輸入によって、国内で厳しい競合に直面
させられ・・・
こんな非常に不安定な60年代という時代の中で、ボブが伝えたか
ったのは、「気を引き締めて、様々な変化に適応できる能力を付
けておかないと、生き延びれないぞ!」という、ゲキだったのです。
「ライク・ア・ローリング・ストーン (Like a Rolling Stone)」の歌詞より
Like a rolling stone?
【英語から日本語への直訳(和訳)】
まるで転がる石の様にって?
・・・って、これじゃあ、直訳過ぎて全く意味が分らないので、この
アルバムが発表された背景を見ていきましょう。
【歌詞が生まれた背景】
アメリカの諺(ことわざ)に、
「A rolling stone gathers no moss」
(転がる石には、苔が付くことは無い)
というものがあります。この諺の意味は、
いつもフットワークが軽く、どんな変化にも適応できる人
ということなんです。
・・・が、この歌詞でディランが歌っている女性は、かつて、お金持ち
で全てを持っていたのに、それを全て失ってしまった人。そこに、
ディランが、
「”転がる石には、苔が付くことは無い”って諺があるけど、今の
君を見てごらんよ。全く正反対だよね・・・」
と、シニカルに、嫌味を込めて、問っているのです。
そう、この曲に出てくる意味深な女性とは、ボブ・ディランのかつての
交際相手(つまり、ディランの元彼女)だった人で、この歌詞は、ディ
ランと別れた後、すっかり落ちぶれてしまった彼女に対しての歌だと、
世間では解釈されているんです。